最近道徳の授業で生徒と「理不尽」について話しました。なんでそんな話をしようと考えたかというと、今の世の中は「理不尽」について教えられていないと思ったからです。そんな調子で世の中に出るから、おかしくなってしまう。厚生労働省が2020年に報告したデータによると、2019年における入社3年以内の離職者は約3割だそうです。一概にはいえないですが、「理不尽」を理由に心を壊して辞めた人も少なくないと思います。
改めて理不尽について考えてみましょう。まず、「理不尽」にはいろんな要素が複雑に絡んできます。例えば年齢や地位の上下関係、利害関係などです。理不尽の多くは、上から下に向かう傾向があるようです。こういった理不尽なことについて、どう対処するのかを考えてみましょう。私は3つのことを考えるべきだと思います。
① 自分の心の動きを考える
「これは理不尽」と思った背景にはどんな心の変化があったかということに思いを巡らしましょう。事実関係を抑えるのです。例えば、自分だけ残業してみんなの仕事を肩代わりして終わらしたのに、翌日数個のミスがみつかって、そのことを定時に帰った人たちに得意顔で指摘される。こんなとき、自分の心はどう動いているのでしょうか。おそらく、
やってやっている
↓
文句を言われた
↓
なんで俺がいわれなきゃならんの?
こんな感じでしょうか。
こう見ると、最初におごりがあることがわかります。この「やってやっている」という感覚は、裏を返すと危険な考えに先鋭化します。気をつけましょう。次に、「文句」と書きました。正当なミスの指摘を「文句」と頭の中で勝手に変換してしまっています。それだから最後の「なんで俺が?」となるのです。
さて、ではどうすればいいかというと、
相手からの報酬を求めない、全ては自分のためになる
という姿勢が大事だと思います。
全ての仕事を「自分のことを認めてくれているからやらせてもらっている、権限を与えてもらっている」と思いましょう。理不尽なことがあったら、「この経験は自分を試している」と思いましょう。実際そうなのです。
② 相手のことを考える
相手がなぜそのような理不尽な態度をとるのか考えてみましょう。上の例でいえば、もしかしたら自分が残業をしたということを知らなかったのかもしれません。そんなときは、一言、「自分が昨日残業して終わらせたんですが、疲れていてミスがでてしまいました、申し訳ありません」と正直に言いましょう。人の揚げ足をとるのが好きな人がたまにいます。きっと自分もそうされてきたのでしょう。そんなときは、相手にしないのが一番です。「ミスを指摘していただきありがとうございます」と言って、自分の糧にしつつ、受け流しましょう。こちらが何もしなくても、時間が経てば周りからの信頼を失い、いなくなるでしょう。最後に、あくまで本気であなたと仕事のことを考えて、いってくれる人もいるでしょう。そんなときは、素直に、「「ミスを指摘していただきありがとうございます」と感謝しましょう。まあそんな人には、理不尽という思いはわかないでしょうが。
③ システムのことを考える
①②で終わらせてはいけません。今度同じように「理不尽」を生まないようにするために、システムのことを考えましょう。上の例で言えば、そもそもなんで仕事が終わらず、最終的に自分一人が残業しなくてはならなかったのか。あらかじめ分担がしっかりできていれば、そんなことにはならなかったはずです。そうやって1つ1つの事例を振り返り、改善していきましょう。
世の中は理不尽なことであふれている、こう教わった方がずっといいでしょう。そして、その「理不尽」に対してどう自分が応じていくのか、これを学校で考える機会を作るべきだと、今回思いました。では、また会いましょう。
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