最近働き方改革が学校でも言われるようになり、これまで当たり前に行われてきたことが見直されるようになってきました。例えば、以前の私の勤務校では、「生徒が登校する7時30まで、そして帰宅後の6時からが勝負」という現実がありました。これは、生徒がいる間は生徒につきっきりになるので、彼らがいないときにしか授業準備ができないということでした。特に担任は本当に大変なものです。「休み時間があるだろう」といわれるかもしれませんが、基本的に休み時間はトラブル防止のために教室にいるのが普通です。イギリスなどでは、「昼休み生徒見守り担当の職員」がいるところもあるようですが、日本の公立校では給食から昼休み時間まで担任が教室で過ごすことが慣例です。「授業の空き時間」は、やりとり帳確認などでなくなりますし、大変な学校では他の教員の支援などで、空き時間はなくなります。放課後は部活動や行事の準備があり、生徒が下校するまではつきっきりです。
さて、こうなってくるともう勤務時間内に授業準備などとてもできません。実際、以前の職場では、昼休みに新人教員が職員室で座って授業準備をしていると、ベテラン教員に「職員室にいないで、教室に行きなさい。」と言われていました。確かに、教室にいると授業とは違った生徒の様子が見れるし、ちょっとした会話からお互いのことが分かって、信頼関係ができていきます。信頼される教員ほど、教室にずっといるというのもまた事実なのです。しかし、それを当然のように新人にまで求めるのはどうかなと思います。なぜなら、何よりも教員にとって大事なのは授業であり、授業で生徒を引きつけ、成長させるのが、教員の仕事の本質だからです。今の現状では、勤務時間内に授業準備をすることは想定されていません。ではどうしているかというと、熱心な教員は朝早く来てやっているか、遅くまで残ってやるか、休日に準備することになります。(いい加減な人は、一度やった教材を、何の魅力も付け加えずに使いまわしますが)
ただこのような働き方では精神がもちませんし、よりクリエイティブな仕事にはつながりません。いい授業をするには、休みにリフレッシュすることが不可欠だと思うのです。
そこで働き方改革でまず考えるべきことは、「授業準備時間を勤務時間内に確保すること」です。授業の質は、準備で決まります。「授業時間」が厳密にカウントされるのと同様に、「授業準備時間」もカウントされるべきなのです。でないと、働き方改革の名の下に、学校の本質である「学びの質」を下げることにつながりかねません。心ない人は勤務時間が減ったと喜ぶでしょうが、大方の心ある教員は、結局休日に教材準備することになり、疲弊し、それが学校教育全体にとって致命的なダメージを与えるのです。(ちなみに私は楽しくて自ら進んで休日に授業準備してますが、全員に暗黙のうちにそれを求めるのは酷です。)行政の方が「授業の質をあげてください」と言うのであれば、それ相応の環境を整えるべきです。
今は学校の存在意義さえも問われている時代です。そこで学校における学びの質が保証されないなら、学校は本当に必要とされなくなります。だからこそ、授業の質をあげることに焦点をむけるべきであり、そのような環境が教員に与えられるべきではないでしょうか。
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