新型コロナによって真の価値が試される「総合的な学習の時間」

Tuesday 18 August 2020

学校教育

  公立中学校で英語教員をしています。最近は新型コロナウィルス感染拡大により、様々な教育活動が制限されていますが、中でも最も考慮すべき事項の1つは、「総合的な学習の時間」の使い方です。これまでは、「総合的な学習の時間」に修学旅行の事前事後学習や芸術鑑賞会を割り当ててきた学校が多いことでしょう。学校によっては、運動会や合唱コンの練習などをこの時間に割り当てていたところも結構あるようです。

 しかしながら、新型コロナの第二波の到来がそのような状況を一変させることになりそうです。なぜなら様々な行事が中止になっているからです。そうなると、計画されていた行事とともに、その準備に当てられていた多くの「総合的な学習の時間」が浮くことになってしまいます。今現在、多くの学校で「総合的な学習の時間」に何をするのかを議論しているところでしょう。

 「総合的な学習の時間」は平成10年の学習指導要領で登場してきた教科で、生徒が主体的に課題を見つけ、よりよく問題解決をする資質や能力を育成することを目的として創設されました。しかしながら、学力低下論争に巻き込まれる形で社会からの批判を受け、また現場からは内容や指導法がよくわからないという批判があがりました。このような状況から、その時間を単に主要教科に置き換えてしまう学校があったり、また先に挙げたように行事の準備期間として、ただいいようにつかってきた、というのが真実ではないでしょうか。一方で、その本来の趣旨を踏まえ、本当の意味での「探求学習」を実践してきた学校もあったようです。いくつかの私立学校では、自分が興味のあることについてとことん調べ論文を書くことを課しています。

       さて、そういった意味で今回のコロナ時代の中でこそ、この総合的な学習の時間の真価が問われることになるでしょう。 教員チームでよく話しあって、なにが生徒の学びにとってプラスになるのか。また学校全体で議論していくべきことだろうと思います。