緊急事態宣言において、学校が授業動画をつくる件について。

Sunday 12 April 2020

学校教育

 コロナウィルスによる緊急事態宣言で、学校も揺れている。欧米では、ロックダウンによって子供たちが学習機会を失わないようにするために、オンライン授業が行われているという。社会の声に押されて、日本のいくつかの自治体でも、授業動画を作って配信するなどという動きがでている。はたして、どれだけの効果があるのか。この記事で考えていきたい。

 ひと月以上もの間学校がなくなると、学力差がより一層広がることが予想される。もともと学力が高い生徒は、自分で勉強する習慣がある程度身についているので、もしくは親御さんが言うので、最低限の勉強はするのだろう。一方で、学力が低い子は、学校がなければほぼ家で勉強することはない。こうして格差が広がることを防ぐために、「授業動画を作って配信しよう」という取り組みは一見有効のように見える。しかし私は、実際にはそれほど効果があると思えない。その理由は、ライブでないからである。ライブであれば、多少なりとも臨場感があり、緊張感をもって学習できるだろうが、いつでも見られる式の動画であれば、結局見ない生徒が続出するだろう。なにせ他に面白い動画がたくさんあるのだから。

 そんな動画をだすよりもっとやるべきことがある。それが生徒一人一人との会話である。ひと月以上もの間学校がなくなることで、1番の心配は、学力よりも、子どもの精神状態である。公立学校で働いていると、逼迫した家庭状況にある子どもが決して少なくないことに愕然とする。そういった子どもたちを救うためには、毎日教師と会話することが極めて重要だと思われるのである。1クラス30人だとすると、担任が1人と10分話しても、5時間である。これを副担などと分担すれば、それほど大変なことではない。毎日とは言わずとも、一週間に一回や二回なら、可能なことである。学力のために授業動画を流すことに反対はしないが、同時に、このような電話での子どもとのやりとりをした方がいいのではないか、と思うのである。