夢のお告げが変えた日本史

Tuesday 24 December 2019

ナルコレプシー

 私はナルコレプシーなので、これまで何度も幻覚を体験しました。高校3年生のときに発症しましたが、初期の頃は、誰かが寝ている最中に勝手に部屋に入ってくる夢、自分が幽体離脱してどこかにいく夢、怖いものに追いかけられる夢、誰かにナイフで刺されたり崖から落ちて死んでいく夢をほぼ毎晩見ていました。それらは時にはあまりにも生々しく、寝ながら叫び声をあげたときもありますし、時には自分が夢を見ているということに気づいている明晰夢も頻繁に見ました。そういった夢を見るとき、特に規則があるわけではなかったのですが、特に疲れているとき、ストレスが溜まっているとき、心配事があるときには、より怖い夢を見ていたような気がします。

 夢には意味があるのか。これは科学者の間で議論されていて明確な答えは出ていません。しかしはっきりしているのは、日本の歴史を振り返ったとき、多くの人が夢によって人生が変わっている、ひいては日本の歴史まで変えてしまうようなこともたくさん起こっているということです。それらをまとめて著しているのが『夢のお告げが変えた日本史』(河合敦)です。

 あらゆる歴史的な大事件が夢によってひきおこされていることが記されていますが、私が特に興味深かったのが、華厳宗の中興の祖となった明恵という人です。彼はなんと、四十年間も夢日記を書き続けていたということです。19歳から死ぬ2年前の58歳までの『夢記』が残っていて、このようなものは世界的にもみても稀有なものだということでした。彼は夢の中で仏教の難解な教義がわかったり、大切な啓示や警告を受けたり、ときには勇気付けられたり病がなおされたりしたということです。

 ナルコレプシーの人は夢にうなされて大変でしょう。深く同情します。しかし、数年経てば、慣れてきて、以前ほどきつくなくなると思います。私のおすすめは、夢を記録し、楽しむ気持ちをもつことです。前の記事にも書きましたが、夢はレム睡眠中に起こりますが、そのレム睡眠中の夢と創造性の間に相関性があるということが明らかになってきています。つまり、夢をみることで、新しいものが創造されていると考えて、夢を見ることを肯定的に考えていきましょう。