教師に絶対読んで欲しい本シリーズ『世界最高の学級経営』

Friday, 15 November 2019

書評

 これまで学級経営のための本をいくつか読んできましたが、私が感じていたのは、いわゆる「スーパー先生」のものが多かったということです。もともとカリスマ性があって、リーダーシップのある先生方の実践はすごいなと思いつつ、なかなか自分にはできないなと思うところがありました。そんな中この本は、「誰がやった」という個人の能力に依存するメソッドではなく、60年の研究成果から判明したエビデンスという、客観的な視点から本当に成果をあげる教師の実践を提示してくれています。この本は教師をする上で私のバイブルの1つです。

『世界最高の学級経営』ハリーウォン/ローズマリーウォン著 東洋館出版社

なによりこの本をお勧めするのは、教師という職業がいかに崇高で、社会に大きなインパクトを与えることができる存在なのかということを思い出させてくれることです。以前私の勤務先の学校に卒業生の教育実習生が来た時、担当の先生は、「教員は大変だからやめたほうがいいよ」と言っているのを見ました。その先生は私も尊敬する先輩の先生だったので少しがっかりしました。もちろん労働環境がきついというのはあるかもしれませんが、それにしても、私はやっぱり「教員は素晴らしいよ。ぜひ君もなってごらん」と心から言えるようにしたいと思っています。以下、本書で特に心に残った部分を書きます。

最初の三週間で一貫性を確立せよ
 これはもう日本でも「黄金の3日間」などあらゆる先生たちが言われることなので、もはやいうまでもありませんが、「学級開き」がもっとも大事ということですね。でなんで大事かということですが、これは私の経験から思うことですが、児童生徒というのは、教員の態度姿勢によって、自分の振る舞いを変えてくるからだと思っています。彼らは教員の一挙手一投足、表情の変化をとても敏感に感じ取ります。だからそこで優柔不断な動きを子供達に見せてしまうと、彼らからの教師への評価はガタ落ちします。だからここでは彼らにスキをみせてはいけません。いつも以上に厳しい姿勢で臨みましょう。後で厳しくしようと思ってもなかなか変えられませんから。


学級経営がうまくいかないのは、教師が手順をちゃんと教えていないから
 最初の学校での研究会で、技術科の著名な先生が話してくださったのが、この手順を教える大切さでした。技術科では椅子やラジオを作る単元がありますが、そういうところで一番大事なのは手順なんだと。そして何の教科だろうが、手順をしっかり教えてくださいと言われました。

受け身教師かイニシアティブ型教師か
 「受け身教師」は、問題に対して「反応」する。怒鳴ったり、静かにさせようと威圧的になる。生徒は反発し、教師はますます威圧的になり、関係が悪化、学びは捗らない。それに対して、「イニシアティブ型教師」は、手順とやり方を示し定着させ、問題を未然に防ぐ。生徒は学びに集中し、教師を信頼する。(p194-195)

 これは本当にもうその通りです。でもこんなの大学の授業ではなかなか教えてもらえないです。だから初任は誰でも苦労するのです。初任の時に、こういう実践的なことももっとちゃんと教えられるような場があればいいですよね。