『CLIL 内容言語統合型学習 第1巻 原理と方法 上智大学外国語教育の新たなる挑戦』渡部良典 池田真、和泉伸一 共著
最近CLILがいろいろなところで取り上げられていることから、この指導法が業界の中で関心を集めていることがわかります。私自身は、大学在学中の教職課程で池田教授の授業をいくつか履修していたので、その指導法を何回か聞いていましたが、英語教師になってからはほぼ忘れていました。しかしあるきっかけがあって、英語教育における言語面重視偏重から内容面に少しずつシフトチェンジしなくてはと思うようになり、そのときちょうど目にしたのが、かつて少し学んでいたCLILでした。
CLILはプロが調理した料理のようなもので、素材を厳選して作り込む「匠の技」であり、教材開発であり、授業方法であり、学習評価である。
池田教授の執筆箇所を読んでいて、当時の大学の授業で、上記の発言(のようなこと)を先生がおっしゃっていたのを思い出しました。私も祖父が大工であったことから、「職人」という言葉には憧れみたいなものがあります。教材づくりが他の問題集のコピペや切りはりで構成されているのではなく、こだわりをもってより良いものを追求して作る職人技という言葉は秀逸で、英語教師のやる気に火をつけてくれます。具体的にどのようなワークシートがいいのかまで踏み込んで書いているので為になります。インプット(受動的知識・スキル)をアウトプット(能動的知識、スキル)が凌駕することはない。
第3章では和泉教授が第二言語学習研究の観点から書いておられますが、特に印象に残ったのはティーチャートークの記述です。「授業の中でのインプットを増やす上でティーチャートークがとりわけ重要になる」という箇所は、私の胸にぐさっと突き刺さりました。なぜならこれまでティーチャートークをあまりちゃんと意識を払ってこなかったからです。ではどういうことに気をつけてやればいいのか。それについて、理論とともに示されています。とってもわかりやすいです。コミュニケーションへの関心意欲態度というのは抽象すぎて、具体的に首尾一貫した観察結果を得ることができない。
第4章は評価についてです。テストとは何で、その目的は何で、どう扱うべきかという基本的ではありますが、重要なところが書いてあります。こういうことは意外とあまり大学では学ばないことだなので、この本で読むと理解が早まるでしょう。
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