大前提として生徒には人の話を聴く姿勢を身につけさせなければいけない。

Monday 28 October 2019

学校教育

 
最近部活動の手伝いに来てくださっている商社マンの人に言われました。
「学校って大変だね。人の話を聴けない生徒に教えなければいけないなんて。しかも話を聞かない生徒がいると教師の話し方が悪いって教師のせいになるんでしょ?そんなの一般社会じゃあまりみないよ」

 うーん、そうかなと思いました。つい先日、教育新聞の記事でアクティブラーニングを実践されている著名な高校の先生が、「アクティブラーニングを成功させるには、まず教師の話をしっかり聴けるようにさせなくてはいけない」と言っていたのを思い出しました。確かに、人の話をしっかり聴くって当たり前のことが中学3年生でもなかなかできない子が増えている気がします。そこで「教師の話し方が悪いんだ。」とか、「教師の話なんて短いほうがいい。もっと活動させて」と言われる風潮が強いと思いますがこのことについて考えてみたいと思います。

①教師の話し方が悪い

 これは教師をしている自分にとっては耳の痛い話です。確かに人の関心を惹きつけられる話し方というのがあって、それは教師にとって必須のスキルです。教員であればそれを身につけていて当然だ、ないなら練習不足だ、と先輩の教員に叱られるのは仕方ありません。しかしかと言って、「生徒が話を聴かない」ということの全ての責任が教師のせいにされていいかというとどうも違う気がします。聴こうとしない生徒にも責任があるわけです。仮にその子がアルバイトで働くことになって、先輩従業員から指示を受けたとき、「先輩の指示が悪くて聞いてませんでした」とはいえないはずです。だから、教員はたとえ自分の話し方が悪いのかもという思いがあっても、それは自分で磨かなければいけないスキルとしておいといて、やっぱり話を聴かない生徒には「話を聴きなさい!」と強く叱るべきです。それを自分の話し方の責任だから、と教員が引け目を感じる必要はあまりないと思います。(繰り返しになりますが、その分教員自身が常に自分の話し方を向上させようと努力している前提です)

②教師の話なんて短いほうがいい。もっと活動させて

 これはある研究授業で耳にした言葉でした。確かにそうかなと思う一方、私はそういう声によって、特に教師が、長く話すことに罪悪感を感じる必要はあまりないと思います。あまり長すぎるのは当然ダメですが、10分や15分くらいなら、話がつまらないと感じようが、聞く姿勢を身につけさせるのも教師の仕事だと思うのです。生徒が話を聴かなければ、強く「話を聴きなさい」と指導を入れるべきでしょう。

どうやって話を聞く姿勢を身につけさせるか

 さて、ではどうやって話を聴かせる姿勢を身につけさせるか。これは様々なことがそうであるように、最初が肝心です。私は新任のときに、先輩の教員から、「全生徒が静かになってこちらを向くまで、絶対に話し始めてはいけないよ。そこである程度静かになったからいいや、と妥協して話してしまったら、もうそのあと話を聴かなくなるまであっという間だから」と口酸っぱく言われました。でもこれってそう簡単ではありません。こちらの覚悟が必要です。「みんなの話が止んで顔上げないなら私は絶対話し始めない」そういう強い気持ちをもって話をするようにしましょう。
 

しっかり話を聴かせたい時の具体的な指示


 ① 机に乗っているものを全て片付けなさい。
  → 手遊びさせないようにするため。
  
 ② 机の縦をきっちり前に、横を右隣に、合わせなさい。
  → 心を整えさせるため。具体的にどこに合わせるかを明確に

 ③ 足をしっかり床につけなさい。
  → これ結構大事。「背筋を伸ばして」と上半身の注意をしても下肢の注意をしない
   人が多い。むしろ足がしっかり地についていれば、ある程度姿勢は整うはず。

 ④ 先生の方を見なさい。
  → 全員と目を合わせるよう心がける。目が合わない子がいれば、「まだ見てない
    人がいるな」といって、注意を呼びかける。
 ⑤ 話を聴いていて「なるほど」、「わかりました」などというときは、
  うなづいて、理解をしているということを話者に示してください。

  

最後に

「人の話をちゃんと聴きなさい」と皆さんは誰に指導されたでしょうか?私は一番は家庭の教育だと思っています。親子でたくさん会話し、そこで親の話をしっかり聴くことを身につけていれば、人の話も聴くようになります。遅くとも小学校を卒業するときに話をしっかりした姿勢で聞けなければ、その後いろいろなことで苦労することがでてくるでしょう。だから教師は人の話を聞く姿勢を早い段階で徹底していきましょう。