英語の文法を覚えるということは、タイピングにおいてキーの位置を覚えるということだ。

Sunday 27 October 2019

英語教育

 

みなさん、こんにちは。中学校・高校の教員をしているまさと申します。今回の話は主に英語学習者に向けたものです。
 
 私は大学から英語を教え始めて早10年ほどたちます。最近ふと気づいた英語学習に関する絶妙な比喩がありますので、お伝えさせていただきます。それは英語の文法を覚えるのは、タイピングのためにキーの位置を覚えるようなものだということです。今の時代大方の人がタイピングができると思いますが、

さて、あなたはキーの列を左上から全て言えるでしょうか。

q...w...e...r

いや!言えないですよね。書き出したら何となくいえるかもしれませんが、ものすごい時間かかりそうです。そう、別にキーの位置を(意識的に)知らなくてもタイピングができているのです。

 私が小学校の頃はまだパソコンが家にあることが珍し買った時代。私もパソコンをやりたくて教室に通いました。そこで最初に教えてもらったのがタイピングです。タイピング練習のためのソフトがあって、いきなり文字入力の練習から始めるように言われました。私はアルファベットすらわからず、どこに何があるか、その位置を頭で覚えようと必死でした。しかし頭で覚えたものを、正しく打ち込もうとすると、どうしても時間がかかります。そのうちにそのやり方だととても時間制限以内に文字を打ち込み課題をクリアすることができないことに気づきます。なんとなく位置を覚えてきたのでやり方を切り替えることにしました。いくら間違えてもいいので、とにかく何となくの感覚でやろうと思ったのです。それからの伸びは飛躍的でした。一週間もすれば大体タイピングができるようになったのです。

 もうお分かりですよね。英語も一緒です。1つの文法を覚えたらそれを使い倒しましょう。大人の方であれば、中学文法を覚えたら、あとはそれをいかに使って表現の訓練をするかです。生徒であれば教室でたくさん間違えた人が一番に習得します。大人であれば間違える場がなければ、自分で日記でもブログでも英語で書きましょう。添削は不要です(もちろんしてもらった方が絶対いいですがそう簡単にしてもらえる訳でもないので)。自分でインプットをたくさんしていれば、そのうちに自分のミスにも気づいてきます。

 英語教師はどうしても英語という道具にこだわってしまいがちです。私も偉そうに文法を教えていますが、どれだけの表現を即座にできるかといわれれば、本当に恥ずかしいレベルです(英語教師であればやっぱり教室ではあまり間違えたくありません。日々の自己研鑽が必須です)。

英語学習自体が手段である

さらに言えば、実は英語学習自体が手段です。自動翻訳が急速に進歩する今日、目指すべきところは英語を使って何をやるかです。まず一番に何をやりたいか、そのために英語を学習するのです。逆にやりたいことがはっきりしている人は、極論その分野に関する単語を覚えればいいのです。英語学習に時間を使いすぎてはいけません(英語教師がいうべきことではないかもしれませんが)。常に、自分が本当にやりたいことを念頭に置いてそのためにどのような英語が必要なのか考えて学習を進めましょう。