AIの発展がめざましく、数年後には現在の仕事の半分近くが消える世界危機が起こると言われています。子どもにどのような力を身につけさせればいいのか、不安に思っている親御さんは多いのではないでしょうか。また、プログラミングや英語教育など次から次に新しいことを教えることが求められ、一体何が本当に必要なのか疑心暗鬼になっている学校の先生もいるのではないでしょうか。そんな方々に絶対的におすすめなのが『AIに負けない子どもを育てる』、そして『AI vs 教科書が読めない子どもたち』です。
著者の新井紀子先生は、数年前ニュースで話題になった「ロボットは東大に入れるか」というプロジェクトを率いてきた方です。AI研究に携わる研究者として、AIがどのように労働市場に食い込んでくるかを冷静な視点で教えてくれます。『AI vs 教科書が読めない子どもたち』では、彼女が東ロボプロジェクトに携わる中で、日本の学生の読解力に疑問を抱き、「こどもたちは教科書が読めていない」というセンセーショナルな事実を世間に知らしめました。また、『AIに負けない子どもを育てる』の中で印象的だったのは、小学校の先生らが良かれと思って作成している「穴埋め式プリント」が子どもの言語能力の伸長を妨げているのではないかという問題提起です。研究授業の時に、生徒たちが2Bの鉛筆を使っているというところに目をつけたというのもすごい慧眼の方だと思いました。
公立学校が日本再生のカギ
新井先生は、自らが公立の出身で、地方公立学校の復権こそが日本社会のあるべき姿だとおっしゃっています。「地方の公立一番校が没落したのは、学びの基礎的・汎用スキル、つまり自学自習する能力が日本全国で低下したとき、学習塾や家庭教師に十年間資金をつぎ込むことが可能で、都会の私学に通わせることができる層に敗北したのだと私は確信しています」(p.302)。確かにそうなのですが、これは裏を返せば、公立教員、学校がしっかりした教育をしてこなかったから、教育熱心な家庭が私立に向かったということです。私は私立には私立の存在意義があると思うのですが(自分も私立出身です)、公立学校教員になったからには、フェアで民主的な教育をすべく、身を捧げていきたいと思います。
教育関係者、特に小中学校の教員は絶対に読むべき本
この本には読解力を培うための授業として、小学校4年生向けの指導案が掲載されています。そしてどのような授業をすべきかの提言もあります。これらは小中の先生であれば絶対に読まなければいけない内容です。ぜひ手にとってくだされば嬉しいです。
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