エビデンスから考えるシリーズ:宿題って意味あるの?

Tuesday 17 September 2019

学校教育 英語教育

この記事は宿題って意味あるの?エビデンスから考える①の続きになっております。

では、宿題が効果があるのかをエビデンスから見てみよう。

まず結論からいうと、
宿題は確かに生徒の成績をあげるのに効力がある。



しかし出しすぎると、意欲を消失させるなど逆効果に



なりうる。だから、誰もが達成感を感じられるように、手軽



にとっかかれる適度な量を続けるべし。



宿題の研究で有名なデューク大のCooper教授は、60以上の関連論文を分析して、宿題は生徒の成績に効果があると結論づけている。(出典:DUKE STUDY: HOMEWORK HELPS STUDENTS SUCCEED IN SCHOOL, AS LONG AS THERE ISN'T TOO MUCH

本論文で示されていることは
  • 特にその効果は小学生よりも中学生の方が強く出る。
  • <学年×10分ルール>がいい。例えば4年生なら40分の宿題が適切。
  • 上級学年(高校生)になっても、2時間以上の宿題はあまり効果が見られない。
  • 低学年には短くとっかかりやすいもの、両親を巻き込める宿題が効果的。
ということで、まだリサーチが少ないとはいえども、宿題に学力を伸ばす効果があるということはエビデンスからも明らかである。

 では具体的にどういう宿題がいいのか、中学生の英語の宿題を考えていこう。

 まず、宿題の量に関して、「それほど時間をかけずに終えられる量」がいいと書いたが、そうすると教室で何がこるかというと、当日の前の授業で内職として宿題をやる、もしくは授業直前にいい加減に宿題をさっと終わらすということがほぼ間違いなく起こる。それは困った問題である。そこで、「誰でもすぐできる」要素と同時に、「やったらやった分だけ得をする」システムにせねばならない。

 これらを考量すると、中学校英語で特に家庭学習で重視したいのは本文の音読である。ここでは私がベテランの教師に教わった方法を共有させていただく。まず教科書の読むべきページに丸印を5つ書く。そのページを10回読んだら、丸印を1つ黒丸に塗りつぶす。こうして教師は机間巡視中に教科書の星数を見て、その子の頑張りを見てやることができる。また、一度実際にみんなの前で読ませてみて、スムーズに読めれば、「家庭学習ちゃんとやっているから読めるんだな」と言ってやる。こうして褒めておけば、他の子も真似してやり出すようになるだろう。

 上山先生の家庭学習のガイドブックはおすすめです。この先生のいいのは、宿題を類型化し、生徒自らに選ばせていることです。例えば、本文写しはレベル1、音読やドリル練習はレベル2、例文づくりはレベル3、エッセイはレベル4(実際の本書のレベル分けとは若干違いますが)などと指定しています。また、やる気がある子はどんどん自分で進めて、ノートも増えていきます。そのノートが勉強量として可視化されるので、満足感も味わえます。

 最近では自律的な学習者を育むため、完全に自由に課題を選ばせ、いわゆる自由学習ノートにまとさせる学校も増えていますが、そうするとあまり意味のないことをやってくる生徒がでてきます。そしてそれをチェックするのは教科の教員ではなく、担任になります。担任は空き時間の間にこれらすべてをチェックしなければいけないので、とても大変です。やはり、中学生であれば、ある程度は各教科で宿題を提示して、教科ごとに確認してやる方がいいのではないのでしょうか。