教師に絶対読んで欲しい本シリーズ     『職場の理不尽に怒らずおだやかに働く技術』横山信治

Thursday, 12 September 2019

学校教育 書評


 

 










 教員を長くやっていれば、同僚の教員や保護者の理不尽な言動に怒りで神経が高ぶり、眠れなくなったことが一度はあるのではないでしょうか。私も数回あります。そういう時って、ほんと辛くて、きついですよね。そこでお勧めしたい本が、

『職場の理不尽に怒らずおだやかに働く技術』 横山信治

 私がこの本に出会ったのは、ある生徒の指導において、自分が良かれと思ってやったことを、先輩教員に否定された時でした。今思えばたかがそれだけのことでと自分でも思うのですが、その時は真剣に生徒に指導したことを、尊敬している教員に否定され、怒りとやるせなさが一日中頭の中を占めていました。そのことがずっと頭にこびりついていて、他のことが全く手につかなかったのです。夜も神経が高ぶって眠れません。「あ、これ続いたら自分がおかしくなるな」と心から思いました。

 次の日、図書館で「怒り」についての本を検索してこの本に出会ったのです。この筆者は「怒り」によって自分のキャリア、そして平和な家庭生活まで潰してしまったのです。

その怒りは、営業成績ナンバーワンを取った際に起こりました。課長に呼び出されたため、褒められると思っていたら、「いい気になるな。仕事はチームワークだ。一人でいい成績をだしたからって調子にのるな」と言われて、頭の中でスパークがはじけたと言っています。そこでつい、「いいですね、課長は何もせずに、言いたいこと言えばいいんだから」と言ってしまったのです。その結果、みんなから疎まれている職場に左遷され、昇進コースから外されてしまいました。怒りでストレスがたまり、うつ病になりました。そしてそれが家族にまで悪影響を与えます。子どもが登校拒否になってしまったのです。

この方、なかなかすさましいですよね。これを読んでいた時、「あ、自分もこの状態が続いたらこの人のようになるな」と心から共感し、少し自分を落ち着かせることができたのでした。

この方はこの経験から、怒りについて考察し、貴重な示唆を与えてくれています。

まず、激しい怒りが生まれる条件について、以下の2つを挙げています。

1自分が正しいことをしたとおもったのに相手に批判された時
2自分は期待してたのに、相手に裏切られた時

そして、そのような激しい怒りには、第一感情と第二感情があると言っています。突然激しい怒りが込み上げるのではなく、些細なことが積み重なって(第一感情)、何かのきっかけで二次感情として爆発するというのです。

そのような激しい怒りですが、自分の精神衛生上良くありませんよね。そこで、そうならないよう、一次感情の時点で対処しておくことが大事だと言っています。具体的には、その時点で自分の思いをしっかり伝えておくということです。

また
・理性のない人の批判は一切聞く必要はない。
・自分にとって本当に許せないことのみ、声を上げる。
・辛抱しても我慢はしない。我慢は先にいらいらが増幅するだけ。辛抱の先には希望がある。
・怒りの感情を感謝に変えられる人にこそ成功がくる。

ということも言っています。

 本当に「怒り」って厄介な感情ですよね。時に人生を破壊する凄まじい力があります。この怒りをしっかりコントロールすることが何よりも重要なことなのです。本書にもありますが、自分がある人に対して怒りで神経がおかしくなりそうな時に、その相手は気楽に居酒屋でビールを楽しんでいるのです。怒りで自分を壊してはいけません。怒りの大噴火を起こす前に、小さな怒りの段階でしっかり対応していくようにしましょう。