エビデンスからみる学校でのいじめ問題① いじめの及ぼす悪影響について / いじめの構造について

Tuesday, 27 August 2019

学校教育

1. いじめの及ぼす悪影響について

学校のいじめ問題は、今まさに被害生徒が苦しんでいることであり、学校なり教員が即何かしらの手を打たないと、被害生徒の状況はさらに悪くなっていきます。また、いじめは被害生徒のみならず、加害者、さらに周りの生徒にも、学力面や精神面において悪影響を及ぼすことがわかっています(Napolitano et al, 2010)。Ttofi et al(2011)の長期間にわたる研究によれば、いじめの加害者はその後犯罪に関わる率が高くなっています。また、興味深いことですが、加害者と被害者両方を経験している生徒は、自殺願望を抱きやすくなるということです(Kaltiala-Heino et al, 1999)。

 

2. いじめの構造について

 文科省がいじめの定義を
「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」

としております。

 国ごとにその定義は様々でありますが、Olweus (2013)では、
・意図的であること(intentionality)
・繰り返しであること(repetition)
・力関係の不均衡(power imbalance)
 
があることと簡潔に表しています。

 からかいや暴力、心理的においつめるなど様々な形でいじめは行われますが、いじめが起こりやすい場は、教職員からみえにくいところに集中します。
・トイレや廊下
・グランド
・食堂  (Garandean et al, 2016)

 最近は特に「ネットいじめ」(Cyber-bullying)が問題です。何が問題かというと、多くの生徒にさらされるということ、学校が終わってもそれから逃れられないこと、教員や親から見えにくいが故に対応が遅れがちになることです(Cross, at al , 2015)