先日、武田製薬の事情に詳しい方から、ナルコレプシータイプ1(NT1)を対象とするオレキシン受容体作動薬であるOveporextonの薬価が、かなり高額になりそうだという話をお聞きしました。
この薬は、筑波大の柳沢正史教授が発見されたオレキシンに直接作用するものであり、ナルコレプシー患者が、ほぼ通常の生活ができるようになるベストインクラスの薬効があるといわれています。私自身、この薬を20年近く待ち侘びていました。
しかしながら、ナルコレプシー患者として、非常に心配な話を聞きました。それは、このOveporextonの薬価が、一般の患者がなかなか手に届かないくらいの高額になるのではないかということです。
武田製薬は日本の会社ですが、実際の会社としての機能は、アメリカの方がかなり力が大きくなっているといいます。アメリカでは、薬価は信じられないくらいの高額になっており、保険に入っていない限り、一般の患者には手が届かないと言います。例えばWaxix(Pitorisant)という、現在ナルコレプシーの第一選択薬ともいわれるものは、保険がなければひと月数十万もするということです。一方、UKでは、NHS(国民保健サービス)の薬価リストに収載されているため、価格は30錠で約£310(日本円で約6万円弱)と、アメリカに比べて大幅に安価にはなっています(それでも一般の患者には手が届かない値段です)。
Oveporextonは、「世界の武田」の将来を担う柱の一つになる薬と言われています。莫大な研究費がかかっています。それゆえに、薬価が高くなるのは、ある程度は仕方がないのでしょう。しかし、本当にその病で苦しんでいる人に届かないなら、何のために薬を創るのでしょうか?何のために、ナルコレプシー患者の人々は治験に参加し、創薬の協力をしてきたのでしょうか?ぜひ、毎日苦しみを抱えている患者の思い、この薬を希望として信じて生きてきた患者の思いを武田薬品の方々にはわかってほしいです。
ではいくらくらいが妥当なのでしょうか。現在、日本でナルコレプシー患者が第一選択として使える薬がモディオダルです。私は1日2錠飲みますが、それで大体月に1万ほどを払っています。先程のWaxixがUKで月に6万円ほどという情報がありました。そこから考えると、日本の皆保険制度使用で、患者の実質負担が4万くらいが上限であって欲しいなと思います。私個人としては、それくらいがぎりぎりの値段です。しかし、実際にはこの値段でも手が届かない人が多いでしょう。私は幸いにも、モディオダルを飲み徹底した生活習慣のおかげで、毎日一般の人並みに働けるくらいまでよくなっていますが、実際の患者の大半は、普通に働くことがままならなず、おかなねもたまらないのです。
Oveporextonは、武田が日本の湘南に作った研究所で開発されたものといいます。ぜひ、本当に窮地に立っている日本のナルコレプシー患者が普通に使える薬として、薬価を適切なもにしていただきたいです。
武田薬品の皆様、本研究を進めていただき、誠に感謝しています。ずっとこの薬を待ち侘びてきました。どうか、日本の一般の患者が実際に手の届く値段にしていただけることを強く要望します。よろしくお願いします。
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