ナルコレプシーを15年以上患い感じる気持ちの変化

Tuesday 4 July 2023

ナルコレプシー

 18歳頃に頭部外傷からナルコレプシーが発症して、15年以上経った。ここに書くことは最近、少し症状が緩和している気がすることから感じ始めた気持ちの変化である。いや、緩和しているとは言っても、ナルコレプシーの症状自体は変わらない。変わらないと言うのは、特に、じっとしていたら15分で気づくと気絶したように眠ってしまっているとか、あくびが出始めたら発作のように出続けると言う症状のことである。では何が変わったのかと言うと、そういう症状に対しての自分の受け止め方や姿勢である。今回はその気持ちの部分を書いておきたい。

 これまで三百六十五日、四六時中ナルコレプシーという病を意識し闘ってきたため、もはや無意識のうちに、自分の機会や能力を制限するようになってしまった。例えば、何か自分で聴いてみたいと考える講義があっても、「自分はどうせ寝てしまうから」という理由でそれを諦めたり、会議で相手に反対意見を言おうと考えても「どうせ寝てしまう自分の意見なんて説得力がないな」として言うのをやめてしまったり。そういうことを無意識的にやるようになってしまっている自分が嫌だなと、最近感じるようになった。
 
 この気持ちは15年経って始めて出てきた感情である。症状に対しての対処において慣れと言うか余裕のようなものがでてきたのかもしれないし、以前より少し中途覚醒が減ってきたことも関係あるかもしれない。いずれにせよ、15年も同じ病といるのである。もはやその病気に対して自分の方が成長していないといけないのである。

 ここで思い出したのが、元アメリカ大統領のリンカーンの「40歳を超えたら自分の顔に責任をもて」と言ったエピソードである。彼の在任時、ある人を閣僚に推薦された時、彼は「あの人の顔が嫌いだ」という理由で断った。その進言者は、「あの人は顔の見た目には責任がないはずだ」と言ったところ、先の「40歳を超えたら自分の顔に責任をもて」と言ったと言う。

 そう、もはや私も30代の折り返し地点にやってきた。いつまでも自分のハンデを言い訳にしてはいけない。病状は変わらなくても、自分の心や姿勢、生き方は変えられるのである。