教員であるならたくさん本を読みましょう。
ということで今日紹介するのは、内田樹先生の『複雑化の教育論』です。
この本はもちろん名前の通り、教育に関することが書かれているのだが、何がいいかというと、内田先生独自の視点が満載であることだ。最近の本は、情報過多のために、どこかで聞いたことのあるようなことをただ並べたような本がたくさん出回っている中で、この本は一線を画している。
私が感銘をうけたことをいくつか紹介しよう。ネタバレになることもあるが、ぜひ、この本を手にとって欲しいので、書きます。
まず、中高一貫の問題点について。私は様々な本を読んできたし、10年来学校に務めているのだが、中高一貫のデメリットをここまで明確に著しているのは初めてでした。そして、実際、その通りだと思ったのです。昨今都内では私立中学を受験する生徒が増えています。何を隠そう、私自身もその一人でした。また、以前都内の公立中で働いていた時は、地元の小学校の半分がごっそり私立に進学していました。さらに、私立だけでなく公立の中高一貫校も増えてきています。多くの自治体が私立に対抗するためなのか、その威信をかけて、名門中高一貫校を開校しています。
なぜ中高一貫がいいのか、その最大の要因の一つは大学受験の実績の高さでしょう。中高一貫では6年間あるので、計画的にじっくり大学受験準備ができます。高校受験がないことから、学校行事に全力で取り組ませる学校もあります。友達も特に変わらないので、大きなストレスも抱えることなく、高校に上がれてしまいます。
いいことずくめのような中高一貫ですが、問題点もあります。それを指摘したのが内田先生です。先生曰く、「中高一貫に通うと、高2くらいでおかしくなってくる」そうです。集団の中での自分のキャラが固定化され、それが息苦しくなってくるというのです。この先生の指摘は、あまりにも自分にも当てはまっていたので感心したのです。私自身高2のとき、ストレスで寝れなくなってしまいましたし、私の弟も中高一貫でしたが、高2のとき、親と押し問答したあげく、海外留学を選びました。
続いて、人間は変われるという認識についてです。昔は、「「士別れて3日ならば、刮目すべし」とよく言われたようです。意味は、人間は変わるので、3日も会わなければ相手のことをこうだと決めつけないで、よく観察せよ」ということです。すぐキャラ化してしまう風潮のなかで、この考えは非常に大事になってくると述べています。中学で生徒指導をしていると特にこの考え大事だなと、身に染みて感じます。
他にも、学舎についてとかコミュニケーション能力についてとか、何より複雑化というワードの意味とか、まだまだ紹介したいことはたくさんありますが、ここまでにしておきましょう。教員であるなら是非本書を手に取ってみてください。
ではまた。アディオス。
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