私は中学校で英語教員をやっています。今日は、授業に関して、よく言われるようになった「当たり前」なことについて考えてみたいと思います。
授業研修会でよく言われることの1つとして、「授業の初めにその授業のめあてや目標を生徒に明示する」というのがあります。学校によっては、それを黒板にまず書かなくてはいけないというところもあるようです。また、海外大学の英語教授法の授業をこれまでいくつか受けてきましたが、そこでも目標を最初に提示するのがよいと教わります。まず「By the end of this lesson, you will be able to ~」で授業を始めなさいといいます。もちろん、教科の特性に応じてそれが効果的なものもあるかもしれませんが、授業がほぼ毎日ある英語に関しては必ずしも全ての授業でそうである必要はないかなと個人的には思っています。その理由を3つあげます。
まず1つ目として、英語の習得というのは、1時間の授業で1つのスキルが身につくものではないからです。スパイラルに復習を繰り返す中で身につくもので、なかなか「この1時間で〜ができるようになる」と宣言するのは無理があります。
2つめとして、授業の連続性や即興性というのがあります。活動や生徒の発言が長引いてその日に予定していたところまで終われなかったら、次の授業にそこから始めます。授業はつながっていて、毎回時間通りに区切れるわけではありません。(「いや、それは教員がちゃんと事前準備をしていないからだろ」と言われると、それはそうなんですが、私はこれまでやってきてどうしても毎回そううまく区切ることができませんでした)。また、例えば生徒がその時間疲れていたり、授業に乗って来なかったら、こちらが説明をしないといけないところは彼らが集中して話を聞ける時間にもっていって、その時間では口や体を動かす活動を臨機応変に組み込みます。そういう工夫は教員として腕が試されるところだと思います。
そして3つめとして、目標を最初に掲げることが、生徒のモチベーションや理解力をあげるのに役立つとはあまり思えないからです。一見どうでもいいようなこととか、その日の話題に関する対話から入って、気づいたら授業の内容に入っていたというようなこともあっていいのではないでしょうか。目標を最初に提示していかにも「これから授業をやるぞ」という流れは、必須のものではないかなと思っています。
ただし、初めに必ずしもゴールを掲げる必要はないとは思いますが、リフレクションは必須です。何を学んだか、どのくらい理解し、身につけられたかを振り返る活動は入れるべきかと思います。
今日はいつも少し違和感を感じてしまう「当たり前」のこと、「授業の初めに目標を掲げること」についての考えをまとめました。これは現時点の私個人の考えであり、今後変わる余地は大いにありますし、エビデンス的にはどうなっているかまではみていませんので、それを差し引いて読んでいただけたらと思います。意見などありましたらコメントください。では一読ありがとうございました。
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