本屋に行くと、「自己啓発」というジャンルのコーナーがある。教師というのは生徒を導き、その成長をサポートする職業であり、気持ちを鼓舞させるような言葉が詰まった自己啓発本は、生徒への言葉かけに結構役立つ。
今日紹介するのは、中島聡さんの著書『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である』である。読んで久々に心にやる気が溢れてきた。私は恥ずかしながらその名前を存じ上げなかったが、相当に有名な方らしい。というのも、windows95の開発に携わり、あの「右クリック」を産んだ方らしいのだ。
そんな中島さんの仕事術、仕事への姿勢は本当に勉強になる。長時間労働で疲弊しきっている教員の仲間たちにこそ、読んで実践してほしい。さらに、この本には生徒に話せるネタが溢れている。たとえば、数学のテストの話。一般的には、1番から順番に解いていく人が多いが、それだと最後の応用問題が終わらずに試験終了になりがちである。そこで初めに応用問題から解いてみて、どのくらい時間がかかるかを見積もってから、基本問題に戻ることを提案している。また、昨今では「予習」をやることを求めない風潮にある(少なくとも私の担当する英語では)が、中島さんは学生時代に予習をやったことによって、余裕をもって授業に取りくめ、いい成績を残せたことを明かしている。このような話の1つや2つを語ることで生徒の学び方は大きく変わる。
話の中でも特に印象深かったのは、ロケットスタートの部分である。これは何か仕事を始めるとき、人は初めはのんびり、締め切り間近になって焦りだすものだが、中島さんは、例えば10日分の仕事であれば、最初の2日間で一気にやってしまえと言っている。なぜこれが印象深かったかというと、大いに共感するところがあったからと、学校のあることが引っかかっていたからだ。そのあることとは、「試験日前の予定たて」である。大体の中学校では、定期試験前になると、カレンダーや手帳に、試験日から逆算して予定をたてさせる。教師はそれを確認して、アドバイスを与える。私はこれまでちゃんと1日1日均等量に課題を分割させ、記入することを何となくよしとしていた。しかし、考えてみればそれはあまり賢くない。というか、そのようなコツコツ型の勉強は、多くの子(特に男子)にとっては簡単なことではない。問題として例えば1日風邪を引いて休んだ場合、下手したら試験前に試験範囲が終わらないということがあるし、また、例えば暗記モノの科目で、「やってさえいたら必ず点数が取れたのに」というものを、他の教科の勉強に費やしたためにノー勉で臨んでしまうことさえある。時間を制するものは人生を制す。この言葉は真実である。こういうことは、教科の内容を学ぶのと同様かそれ以上に大事なことである。折に触れて時間の管理術を話せるようにしたい。
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