エビデンスから考えるシリーズ:学校の雰囲気とは何か?どうやって改善できるのか

Tuesday, 1 October 2019

学校教育

 


こんにちは。まさです。 今日は学校の雰囲気についてかんがえてみたいと思います。

 このことを書く理由

 最近はキャリア教育を意識してか、中学校2年生の3学期あたりから高校訪問をさせるところが多いですよね。私が公立中学校に勤務していた頃も、確か2年の長期休みの課題で、高校見学をさせていました。生徒たちは高校の運動会や文化祭、説明会などに参加してみて、志望校を絞っていくわけですが、このとき「何がここにする決めてになったの?」と聞くと、大方の生徒が「うーん、雰囲気ですかね」と答えるのです。私は常々この「雰囲気」とは何なのだろうと考えてきました。そこで今回、論文からこの「雰囲気」を分析してみたいと思います。


 「学校の雰囲気」とは

(Wang and Degol, 2015)によれば、学校の雰囲気(School climate)は4つの領域に絞られるみたいです。






 
Wang and Degol, 2015を参考に筆者が図化

このように何となく存在する「雰囲気」を分解してみると、より理解しやすくなりますよね。

 学校の雰囲気が生徒にどのように影響を与えているか

 では学校の雰囲気はどのように生徒に影響しているのでしょうか。すでに、学校の雰囲気は生徒の学力や精神の成長において、大きな役割を果たすことはわかっています。しかし実はそのメカニズムは明らかになってはいません。Reynolds et al (2017)の説によれば、生徒がその学校の一員となることによって、「I」から「We」に行動や考え方が変化していくんだと言っています。つまり、学校の雰囲気がよければ、生徒の行動や考え方も良好なものになっていくということでしょう。

 学校の雰囲気をよくするためにはどうすればいいか

 学校の雰囲気を決める要となるのが、校長先生のリーダーシップです(MacNeil, 2009)

。良い校長は、それぞれの先生の授業を観察し、効果的なフィードバックをしてやったり、先生方の相談によくのってやります。そうやって先生方から「信頼」を得ています。その信頼感が、教員同士の間の信頼感につながり、彼らを活性化させ、間接的ではありますが、学校全体の雰囲気をよくします(Kutsyuruba et al, 2015)。

 まとめ

 いかがだったでしょうか。学校の雰囲気とは何なのか、それをよくすることはとても大事なこと、そしてそのためには校長のリーダーシップ、そして教員間の信頼感が重要だということがわかりましたね。学校改善に努めている方、参考にしてくださいね。




出典:
Kutsyuruba, B., Klinger, D.A. and Hussain, A. (2015) Relationships among school climate, school safety, and student achievement and wellbeing: a review of the literature. Review of Education, 3 (2): 103-135.

Macneil, A.J., Prater, D.L. and Busch, S. (0101) The effects of school culture and climate on student achievement. International Journal of Leadership in Education, 12 (1): 73-84. 

Reynolds, K.J., Lee, E., Turner, I., et al. (2017) How does school climate impact academic achievement? An examination of social identity processes. School Psychology International, 38 (1): 78-97.