18歳選挙導入が2016年の6月19日に施行されたが、年が経つにつれて18、19歳の投票率が少しずつ下がっているらしい。高校教員は今一度政治・公民教育について考え、学校でどのように取り扱っていくかを考える必要があるだろう。個人的な価値観を押し付けるのは「洗脳」となりうる危険性があり、教育基本法でも禁止されているが、逆に現実から遊離した知識だけ教えても、高校生に「当事者意識」を持たせることはできない。
ここで参考になるのが、ナチスという化け物を生み出し、第二次世界大戦を引き起こしたドイツの戦後の政治・公民教育だ。教育学者の近藤孝弘によれば、ドイツの政治教育で強調されたのは、社会は根本的に対立を含むものだと民衆に認識させることだという。特に注目しているのが、
政治的判断能力
政治的行為能力
方法的能力
の3つの力である。 簡単にいえば、どの政党もしくは政治家を選ぶか自分で判断できる力、実際に投票するなどして行動を起こす力、そして基本的な政治の知識を有効に使う力である。この3つの力をいかに育てていくかを教員一人一人がしっかり考えていく必要があるだろう。
日本においては、社会について知識は習うが、それをどう使うかまでは踏み込まないことが多い。一方ドイツでは、具体的な事例に対し、対立する両者の考えを社会科学的な枠組みを通して生徒に自覚的に理解させようとするという。そういう意味で、模擬選挙のような取り組みは非常に効果があるのだろう。私は社会科教員ではなく、英語教員だが、この模擬選挙を英語の授業で取り入れたら面白いと思う。今度やってみる。
参考文献:『日本の公教育』中澤 渉 著
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