最近、私の学校では英語ばかり重視するので、それに違和感を感じて手に取ったのが、本日の紹介する本です。いうまでもなく、外国語力が母語での国語力を超えることはありません。かつては地域や家庭の中での豊かな人間関係の中で自然と培われてきた日本語力。日本人が日本語を扱えるのはあまりにも当たり前だったから故に、日本語力を鍛えるという観点が、どこか見過ごされてきたようです。さらに、官僚や教授というのは十分な教育のリソースをもつ家庭で育ってきたと思われますが、そのような彼らが国の教育方針を示す学習指導要領を作成しているわけだから、余計に国語力を鍛えようという視点が欠けがちになるのは想像できます。
本書では、現在の学校での諸問題がいかに国語力と関係しているのかが示され、各界の専門の教授等への綿密な取材記録とともに語られています。後半では、いかにそのような言語能力が身に付いていない子供たちを救えるのか、いくつかの実践例が示されています。私が特に印象的だったのは、日本女子大付属中学校の取り組みです。この学校では、国語の教材で文庫本を読み込むそうです。同様な取り組みが灘中や麻布中でやられていたのはよく知られた話です。結局、教科書のように一部を拾い読みするのではなく、名作と言われる文庫文を丁寧に読み込み、考える、こういった時間が、国語力を伸ばすには不可欠なことなんだということです。
私は英語教師ですが、改めて、日本語を意識的に鍛えることがいかに重要かを痛感しました。これからの授業づくりに、参考にしていきたいです。
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