ChatGPTが英語教育にもたらすものについての考察 〜今後英語教育では英文法がますます重要になるのではないか〜

Friday 13 October 2023

学校教育 英語教育

 先日紹介した『ChatGPT翻訳術』について、考えたことをさっと書いておきます。

 私の勤務する学校では、中一から英文法を授業で教えることは一切なく、全て英語で授業を行っています。そうすると、生徒は「英語を間違えて恥ずかしい」という概念が植え付けられません。その結果、言いたいことを知っている英単語を並べて必死に発言します。側から見ると、「スピーキング力が素晴らしい」と見えることでしょう。実際、多くの授業視察者が来ていますし、この光景をみて、褒めてくださいます。英検においても、多くの合格者を輩出しています。彼らは、ライティングの部分で圧倒的な点数をとります。それは、とにかくたくさん書くからです。それはそれで素晴らしいことだと思います。

 一方で、『ChatGPT翻訳術』の本を読んで考えさせられたことがありました。それは著者の山田教授が、AIの到来により、今後特に重要となるのは、メタ言語能力、つまり言葉を説明するための言葉だといっていることです。つまり、英語で言えば、英文法でしょう。私の勤務校では、日本の英語教育へのアンチテーゼとして、英文法を一切教えず、英語を使いながら英語を学ぶカリキュラムがとられています。いわゆる現教育指導要領の目指すような授業です。しかし、本当にそれでいいのでしょうか。教授の言うように、母語である日本語で英語を説明できる力、つまり英文法の知識の必要性がAI技術の到来によって今後ますます高まっていくのではないか。いやいや、即興のコミュニケーションができないと、と言う人もいるかもしれません。しかし、日本人は英語で話すことによって、思考力が落ちます。だったら、初めから日本語で考えて、それを瞬時に訳してくれるツール(既に技術的に完成している)を使った方が、より日本人としての価値、世界でのプレゼンスが高まるのではないか、

そんなことを考えました。