ナルコレプシー患者は、大事な場面、例えば重要な会議などですら寝てしまうため、周りからは「怠け者」とか「頼りにならない」とおもわれがちである。そうやって毎日、仕事でも学校でも大変つらい思いをすることになる。当然そういったことは患者の人格形成に大きな影響を与えることがわかっている。
Y Honda (1988)によれば、
The patient thus loses confidence and develops feelings of inferiority and self-depreciation. After years of such life, however, the patient grows accustomed to the somnolence, loses awareness of it, and even denies the feeling of frequent sleepiness. He instead develops decreased psychic tension, poor self-assertion, and good-naturedness. Punctuality decreases and the patient becomes easygoing and loses active concern about things around him. This characteristic personality observed frequently in chronic narcoleptic patients is termed "narcoleptoid personality" (Honda et al. 1965, Honda 1972).
ナルコレプシー患者はこうして自信をなくし、劣等感や自己嫌悪感を抱くようになる。しかしながら、そのような生活が続いていくと、やがて、眠気になれていき、眠気を意識しなくなり、眠いという感覚を否定さえするようになる。そして、心的緊張が減り、自尊心は低いながら、良い性格になっていく。正確さが減り、何事にも「なるようになるさ」的な楽観さを持ち、周りの出来事にあまり動じなくなる。この性格傾向が多く見られたことから、この性格を「ナルコレプトマイド性格」と名付ける。
また、Mei, et al (2019)では、ナルコレプシー患者の生活の質に一番影響を与えているのは、「寝てしまうかもしれない」という不安だという。これはナルコレプシーの方であればわかり過ぎるほどわかるのではないだろうか。だからとりあえず大事なことがあるときは、何とか一度寝ておこうと、電車だろうがトイレだろうが、とにかく寝ようとする。
1つ興味深いと思ったのは、自尊心が低いにも関わらず、性格がよくなってしまうという傾向についてである。これは非常に興味深い。なぜなら、周りから責められ、劣等感に苛まれれば、人に嫌われるような意地悪な性格になっても不思議ではないからだ。ここからは私の推察であるが、ナルコレプシー患者は確かに自尊心が低いのかもしれないが、一方で周りに認められる能力、もしくは「あいつならしょうがない」といい意味で許されるひたむきさをもっているのではないだろうか。それはおそらく常に長きにわたって起こる眠気との戦いによって培われるものであるだろう。また、常に自分が大変な状況にあるからこそ、人の痛みにも敏感になるという共感力があるのかもしれない。だからこそ、私の知っている限り、ナルコレプシーの方で、ある程度の立場を持った人は、とても周りから慕われる人になっている。
出典:
Y,Honda,1988, Clinical Features of Narcolepsy: Japanese Experiences
Y Honda (1988)によれば、
The patient thus loses confidence and develops feelings of inferiority and self-depreciation. After years of such life, however, the patient grows accustomed to the somnolence, loses awareness of it, and even denies the feeling of frequent sleepiness. He instead develops decreased psychic tension, poor self-assertion, and good-naturedness. Punctuality decreases and the patient becomes easygoing and loses active concern about things around him. This characteristic personality observed frequently in chronic narcoleptic patients is termed "narcoleptoid personality" (Honda et al. 1965, Honda 1972).
ナルコレプシー患者はこうして自信をなくし、劣等感や自己嫌悪感を抱くようになる。しかしながら、そのような生活が続いていくと、やがて、眠気になれていき、眠気を意識しなくなり、眠いという感覚を否定さえするようになる。そして、心的緊張が減り、自尊心は低いながら、良い性格になっていく。正確さが減り、何事にも「なるようになるさ」的な楽観さを持ち、周りの出来事にあまり動じなくなる。この性格傾向が多く見られたことから、この性格を「ナルコレプトマイド性格」と名付ける。
また、Mei, et al (2019)では、ナルコレプシー患者の生活の質に一番影響を与えているのは、「寝てしまうかもしれない」という不安だという。これはナルコレプシーの方であればわかり過ぎるほどわかるのではないだろうか。だからとりあえず大事なことがあるときは、何とか一度寝ておこうと、電車だろうがトイレだろうが、とにかく寝ようとする。
1つ興味深いと思ったのは、自尊心が低いにも関わらず、性格がよくなってしまうという傾向についてである。これは非常に興味深い。なぜなら、周りから責められ、劣等感に苛まれれば、人に嫌われるような意地悪な性格になっても不思議ではないからだ。ここからは私の推察であるが、ナルコレプシー患者は確かに自尊心が低いのかもしれないが、一方で周りに認められる能力、もしくは「あいつならしょうがない」といい意味で許されるひたむきさをもっているのではないだろうか。それはおそらく常に長きにわたって起こる眠気との戦いによって培われるものであるだろう。また、常に自分が大変な状況にあるからこそ、人の痛みにも敏感になるという共感力があるのかもしれない。だからこそ、私の知っている限り、ナルコレプシーの方で、ある程度の立場を持った人は、とても周りから慕われる人になっている。
出典:
Y,Honda,1988, Clinical Features of Narcolepsy: Japanese Experiences
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